BLACKの秘密

DIARGEのプロダクトの中でも人気のあるブラックカラー、今回はその中でも金属プロダクトの表面処理について紹介します。

 DIARGEのブラックカラーは表面処理によって表現されています。表面処理の種類は大きくメッキとアニオン電着塗装があります。

アニオン電着塗装を施しているのは1点のみなので、 今回はその他の大多数を占めるメッキについて記載しておきます。

めっ‐き【鍍金/滅金】

読み方:めっき

[名](スル)

《古代、仏像に金めっきをするのに用いた金のアマルガムを滅金と呼んだところから》金属または卑金属の表面を他の金属の薄膜で覆うこと。また、そのようにしたもの。防食・装飾などのために行い、方法には電気鍍金・溶融鍍金・蒸着鍍金などがある。ときん。「金で–する」

 うわべを飾り、よく見せかけること。

 出典:デジタル大辞泉

https://www.weblio.jp/content/めっき

 【DIARGEで用いているメッキの種類】

◇ダールブラックメッキ

銅の下地の上に黒色の層を形成する湿式回転メッキ。深みのある黒で粉体のような質感が特徴。黒色の層は比較的柔らかく、磨耗した箇所から徐々に下地の銅が覗いてくるエイジング要素のあるメッキ。 バッグの金具などにも多用されている。DIARGEではシューホーンやキーリングなど全体的に磨耗する用途のアイテムに仕様している。

採用アイテム:13304,13308,13316,13318,13327,13318,13329

◇黒色クロムメッキ

漆黒の半光沢で密着性に優れた均一の膜を形成し、防錆・耐薬品性、耐摩耗性を持つメッキ。数ある黒色クロムメッキの中でも独自の特許技術を持つ協力会社依頼しています。

採用アイテム:13315,13320,13322,13323,13324,13908

 

◇黒色無電解ニッケルメッキ

DIARGEのプロダクトに施している黒色メッキの中でも最も優れた硬度を誇るメッキ。ビッカーズ硬度で220〜280Hv 相当、漆黒ではなく、ガンメタリックよりの黒色。

採用アイテム:21000,21001

 

プロダクトの用途や形状などに応じて、主に装飾性を目的として複数の表面処理を使い分けています。

ここで疑問なのですが、金属そのものに黒色のものはありません。しかしなのになぜメッキでは黒色が表現可能なのでしょうか?

その秘密は物理構造と光の反射の関係にあります。

金属は一般的に銀色のものが多数というイメージがあると思います。色名の起源の自然銀(Ag)は全ての物質の中で最も反射率が高く、すべての可視光領域の光に対し90%以上を均等に反射すると言われています。鏡はガラスの板の裏側に銀を貼り付けたものです。 

逆にすべての光を吸収すればするほど、黒く見えるということです。そして同じ反射率の物質でも、反射されるたびに僅かに光が吸収が起こるため、反射を繰り返して行くと大きく減衰し、外部に反射光として認識される光がなくなってしまうという現象です。つまり表面処理では構造的に光を吸収することで、構造色として黒色を再現していると言えます。

1例として、メッキではありませんがカーボンナノチューブから構成されるベンタブラック(Vantablack)は可視光の最大99.965%を吸収する物質をあげておりきます。光が当たると、それを跳ね返すのではなく「チューブの森」にとらえ、チューブ内を何度も屈折させ最終的には吸収されて熱として拡散されます。

自動車メーカーのBMWが2019年にそのベンタブラックを改良し、車の塗装として施した世界で最も黒い車となる「VBX6」を発表しました。

黒色の表面処理全般に共通することですが、表面が平滑ではない為、銀色のメッキなどに比べて硬度及び耐摩耗性が高い処理が難しいと言われています。

DIARGEでは黒色でより高い耐摩耗性を実現すべく、一部のプロダクトでイオンプレーティング(物理蒸着:PVD)の試作を進めています。

今後ご紹介が出来るように鋭意研究しております。乞うご期待ください。