真鍮メンテナンス 実践編① -平板形状-

猛暑を経て水染みのような白い変色が見られるスタッフ私物の KEY ORGANIZER 13320 GOLD 、METAL PLATE CARD HOLDER 13323 GOLD の仕上げ直しをしてみます。

なるべく身近な材料ということで100円均一で金属磨きのクロスと、汚れ落とし用の消しゴム(研磨剤を含む)をチョイス。いずれも近所のダイソーで調達しました。

もう1点、質感を残して仕上げ直しをするのに適した薬品、ブラスケアも試してみます。

 

◇KEY ORGANIZER 13320 GOLD

元々はバレル加工という少し表面を荒らした仕上げの商品ですが、5年以上使っていて程よく光沢と味が出てます。上品なプラチナゴールドから使用を経てアンティークゴールドへと変わる過程も真鍮プロダクトの魅力です。

猛暑で汗をかいたせいか、コロナ禍でアルコール消毒をしたまま濡れた状態で触っていたせいか分りませんが水染みのような白い斑点が出ています。

まずビスを外してパーツの状態の戻します。

ロゴありのプレート、ロゴなしのプレート(ネジあり)の2点が今回の仕上げ直しの対象です。

ちなみに背面はこんな感じです。触ることのない部分はそのまま変色が進みますので表面より色が濃いです。このぐらいの変色だと仕上げ直しの方法も変わるので、今回は手をつけないでおきます。

まずは金属磨きクロスで磨いてみます。ロゴの半分から右側が磨いた状態です。左側と比べると酸化被膜が落ちて光沢が出ているのが分かります。

酸化被膜が落ちるので、当然水染みも落ちましたが光沢感が出てしまうのはちょっと違うという意見も踏まえて左側は汚れ落としの消しゴムで仕上げてみます。同じく酸化被膜は落ちますがクロスと比べると光沢は抑えられています。

汚れ落とし消しゴムでロゴ有りプレート全体、ロゴなしプレートの上半分を仕上げ直しした状態です。

下半分も仕上げ直しします。ネジ部分の変色は手強いので、今回の材料では殆ど落ちません。このぐらいの変色にアプローチする場合はスコッチブライトなどナイロンたわしを使って軽く表面を削るように研磨します。

再度組み立てた状態、真鍮を仕上げ直しした直後(特に研磨後)は白っぽく見えますが、使っているとあっという間に変色が進みます。

 

◇METAL PLATE CARD HOLDER 13323 GOLD

こちらはバイブレーション加工で仕上げた商品ですが、3年強使っていて程よく光沢と味が出てます。KEY ORGANIZERと比べてより面が大きいアイテムなので存在感があります。

こちらも今夏出来た水染み、同じ部分に引っ掻きキズにようなものも見えます。どうやらキーオーガナイザーと同じポケットに入れておいたことがあり、プロダクト同士で接触した模様です。

こちらは水染みとは対照的な濃いシミ。真鍮のシミ状の変色というとこちらの方が一般的かも知れません。こちらも今回の仕上げ直しでアプローチしてみます。

ゴムをとって真鍮プレートのパーツの状態にします。こうやってみると水着の日焼け跡のようです。

こちらは反対面、カードの出し入れの際の摩擦跡が縦方向に見えます。

このプレートパーツをブラスケアで処理してみます。

 

ブラスケア投入直後、一瞬で酸化被膜が落ちて全体的に色が明るくなりました。ウエス(布)を使って塗布してもOKですが、面が大きいものに使用する場合は浸すような使い方が無難です。なおDIARGEでは通常、量産用の薬品を使っています。家庭にあるようなものであれば、お酢やレモン汁、タバスコ、サンポール(トイレ洗剤)など酸性のものでも代用できます。

3分経過、除去された酸化被膜の色が漂いはじめました。

5分後、薬品の色がより濃くなったのが分かります。

ブラスケアから出して、水で洗った状態です。結果的にいうと約5分間浸していたので、部分的に脱亜鉛と呼ばれる現象が見られます。銅と亜鉛を主成分としているので、亜鉛が抜ける=銅が表出している状態です。この手の薬品は比較的すぐに効果が出るので、1分以内で十分だと思います。

一旦組み立ててみます。水シミは消え、変色は目立たなくなっています。銅が主張したシャビーな感じが好きな方もいるかもしれませんが、真鍮の質感を追求する身としてはもうひと手間加えたいところです。

 

KEY ORGANIZERの仕上げ直しでも使用した汚れ落とし消しゴムで表面を軽く仕上げてみました。脱亜鉛状態の表面は銅成分が露出しているので比較的簡単に落とせます。

再度組み立ててみました。

水染みは消え、細かい傷は目立たなくなっています。

KEY ORGANIZER、METAL PLATE CARD HOLDERの仕上げ直し後の状態です。真鍮は仕上げ直し直後は白味が強いプラチナゴールドカラーですが、手で触るようなプロダクトはすぐに変色が始まりますのでちょっと色が薄いなと感じるくらいで全く問題ありません。

真鍮は銅合金ゆえ素地のものはデリケートな部分もあるように感じると思いますが、DIARGEの商品は全て実用性のあるプロダクトです。メーカー兼ユーザー目線で言えばはあまり気にせずにガシガシ使ってもらって、必要に応じて好みの質感に近づけるように仕上げ直しをしていただくことをお勧めします。

真鍮を仕上げ直しする際にオススメの材料(薬品含む)、仕上がりの質感と対象物の形状との相性をまとめた表を貼っておきます。

対象物や仕上がりの質感などによってアプローチも様々です。また別の仕上げ直しの方法を紹介したいと思います。

皆さん素敵な真鍮ライフを楽しんでください。