真鍮メンテナンス 初級編 実践

真鍮メンテナンス 初級編 実践

1月 24, 2021 0 コメント

前回のメンテナンス剤(材)記事で紹介した、メンテナンス剤(材)を使って仕上げ直しの工程を説明します。

 

【質感をそのまま残して素地の色合いに戻したい】

酸性クリーナー HALT

 

 

まずはHALTを使って質感を残したまま酸化被膜(変色)を除去してみます。

今回の仕上げ直しの対象物は13320 KEY IRGANIZER のプレートパーツ(ロゴあり)と、14305 BRASS CHASING SHORHORN(10cm)のシューホーン本体です。

サンプルとして保管していたパーツで変色が進んでいます。

 

シューホーンは生産から上がってきた状態のものですが、無数の斑点状のウォーターマーク(水あと)がみられます。いずれも表面に酸化被膜が出来ているので変色しています。

水を使用するので流しに場所を変え、HALTを吹きかけます。素手で触っても問題のない薬品ですが、対象物への影響などを踏まえゴム手袋(ニトリルゴム製)を着用をおすすめします。

溶液がついた部分は瞬時に酸化被膜が落ちます。

ムラにならないよう満遍なく塗り広げます。真鍮および銅合金はすぐに反応しますので時間を置かずにすぐに塗り広げ、水洗いし、キレイな布で拭き上げることをおすすめします。

※時間を置くと化学変化を起こし変色の原因になります。

 

以上、仕上げ直しが完了です。軽度の酸化被膜であればこの通り、HALTと水と布があればOKととても簡単です。

 

【キレイに磨きたい・光沢を出したい】

ピカール液

ピカール液は乳化性液状の金属磨きです。液をウエス(布)などに付け物理的に磨くというシンプルな作用で仕上げ直しをします。今回の仕上げ直しの対象物は13306 BRASS & LEATHER BOTTLE KEYRINGの角ナスと呼ばれるフックパーツ、元々光沢のある仕上げのパーツです。

サンプルで放置されていたパーツなので、全体的に酸化被膜による変色がみられます。

早速磨くのに必要なものはウエス(布)、ピカールの受け皿、厚紙、ゴム手袋などです。ウエスは使わなくなったTシャツや靴下、タオルなどで代用してもらって大丈夫です。紙は作業場所が汚れないようにする為なので、新聞紙などでもOKですが水分を含みますので重ねて使用することをおすすめします。受け皿はピカールの濃度を水で調整したりする際にあると便利です。

角ナスの中央から先端部分のみを磨いてみました。色が薄く(白っぽく)変わったのがわかると思います。

全体を吹き上げた状態です。ここで注目して欲しいのがウエスや厚紙が黒くなっているところです。研磨剤により対象物の真鍮の表面を研磨するので、細かい金属粒子が混ざって黒くなります。ピカール液自体に粘性があるので対象物に残らないようにしっかり拭き取ります。

この金属粒子を含んだ汚れは付着すると厄介なので、革などに付かないように注意しましょう。手袋を使用すること、作業台に付かないこと、紙などは頻繁に変えることがポイントです。

なおウエスを起毛したタオルなどに変えることで凸凹した面にも対応出来ます。粘性があるので面の大きいものだと表面に液が残り易く(真鍮の場合は金属成分が混ざって黒色に残ります)拭き取りに多少の労力が必要になります。あらかじめ水などで薄めたりすることで拭き取り易くすることも可能です。いずれにしても手が黒く汚れるのでゴム手袋(あればニトリルゴム)をおすすめします。

しっかり拭き上げるとこの通りキレイになりました。酸化被膜を除去するついでに磨くことも出来るので、光沢を出す仕上げ直しにぴったりです。

 

【濃い・深い変色や汚れ、キズを除去したい】

リコブライト ハンドパッド(ナイロンたわし)

 

今回の仕上げ直し対象物は13315 CHASING MONEYCLIP GD と、14300 BRASS CHASING SHORHORN(13cm) GDのシューホーン本体です。

どこでどう保管しておいたらこうなるのってくらいに見事に変色しています。このくらいになるとHALTでは除去仕切れませんし、ピカールでも日が暮れます。

ここでリコブライト ハンドパッドの出番です。

使用する番手は#240(赤)、#400(緑)、#600(紫)、#800(青)、#1500(グレー)です。

まずはマネークリップ、最も粗い#240からかけます。番手の数字が小さいものほど粗く、大きいものほど細かくなります。

ロゴ部分、ロゴに対して並行に一定方向にかけるのがポイントです。

打ち出し加工がある部分こちらは縦方向にかけています。紙ヤスリなどと違ってクッション性があるので意匠を程よく残してヤスリがけすることが出来ます。

酸化被膜の深い(変色の濃い)部分が落ちきる程度に仕上げました。その他の部分は慣らす程度にかけています。

 

次にシューホーン

 

先端の部分の変色は気持ち残っていますが、打ち出し加工の意匠がある部分でかけ過ぎると意匠が薄くなってしまうのと、以後の番手の作業で落ちる程度なので良しとしています。

この後、#400→#600→#800→#1500 と同じような作業を繰り返します。所要時間としては最初の番手に(今回は#240)に最も時間をかけ、徐々に短くなるイメージです。重要なポイントとしてはヤスリの番手を飛ばしすぎないこと、一定方向にかけることです。番手を細かく刻むことと一定方向にかけることでヤスリ目が目立たなくなっていきます。ランダムにかけたりすると粗い番手のヤスリ目が消えにくくなりますので注意してください。

#1500までかけた後の画像です。酸化被膜はほとんど除去されていて、ヤスリ目の影響で白っぽく感じます。

最後の仕上げにピカールを使ってヤスリ目を落ち着かせます。

打ち出し加工の意匠には液が残りやすいので、光沢の程度次第ではピカール液を少し薄めて使うことをおすすめします。起毛したタオルなどを使いことも有効です。

打ち出し意匠の部分が光沢の違いで若干黒ずんで見えるかもしれませんが、肉眼では識別が難しい程度です。

以上、仕上げ用途別に手軽なオススメのメンテナンス剤(材)を使った仕上げ直しの実践でした。

なおDIARGEとしては新しい真鍮のプラチナゴールド色も、使用を経て色が濃くなったアンティークゴールド色もどちらも魅力的だと思っております。意外に感じるかもしれませんが、なだらかなかつ自然な経年変化のポイントは頻繁に使う(触る)ことです。今回ご紹介した仕上げ直しの方法も駆使して、ぜひ貴方のお好みの真鍮の質感を楽しんでください。